データで見るピアノ演奏人口の動向

2013年9月の facebook への投稿を再掲)

Scrapbox に移行(20210212)データで見るピアノ演奏人口の動向

ヤマハに河合、国内ピアノメーカーの苦悩〜年間1万台割れ目前、中国・新興国強化の行方

ピアノ販売は長期低落傾向が続いている。同協会が現在の基準で統計を取り始めた1992年、国内ピアノ販売台数は11万3500台。95年以降は減り続け、2010年には1万6356台にまで落ち込んだ。92年の7分の1の水準だ。
少子化の影響や、高品質・低価格化が進んでいる電子ピアノを購入する人が増えたことが販売減少の主な理由だ。ピアノの市場規模は縮小の一途をたどり、販売台数が1万台を割るのは時間の問題とみられている。

僕はこの「アコースティックピアノが売れなくなっている」問題を、よく比較されがちな「アコースティックピアノ vs 電子ピアノ」という構図だけで捉えず、「楽器演奏に魅力を感じる人が減っている」ことにもっと注目し、考えていく必要があると思っている。

統計によれば、音楽を趣味とする人は5年で0.8%ずつ減っている。これは、約100万人ずつ減っていることを意味する。

◎ 楽器を年に1回以上演奏する人の割合
2001年 11.3%
2006年 10.5%
2011年 9.6%
[引用] 社会生活基本調査
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL02100104.do…

次にピアノ人口に注目するために、ピアノの生徒が多いと思われる「ヤマハ音楽教室」の生徒数の推移を見ると、毎年数万人単位で減少している。

◎ ヤマハ音楽教室の生徒数
2010年 51.5万人(11万人)
2011年 50.0万人(11万人)
2012年 46.0万人(11万人)
※ ()内は、全体のうちの大人の音楽レッスン生徒数
[引用] ヤマハ音楽教室とは
http://www.yamaha-mf.or.jp/t-audition/sys/school/

これは、15歳未満の年間減少数である15万人(=全15歳未満の0.9%)と比べても、大きい数字だと思う。

一方、ピアノ台数に目を向けると、実は電子ピアノの増加以上に、アコースティックピアノの販売台数は減少している。近年のデータがなかったので少し古いデータになるが、年間販売台数について1997年から2006年の10年にかけて、電子ピアノは約2万台増えた一方、アコースティックピアノは5万台近く減少している。つまり、ピアノ全体の販売台数が大幅に減少しているのだ。

[引用] 国内ピアノ販売台数統計 PTNA
http://www.piano.or.jp/in…/member/column/2007/…/08_6777.html

このように日本において、ピアノを含め音楽を趣味とする人はあらゆる面を見ても減っているわけだ。

音楽、とりわけ楽器を演奏することが大好きで、音楽業界に携わる一人として、この問題は真剣に取り組んでいかなければならないと考えている。また、今後の piaScore はそのような問題を少しでも解消することも視野に入れて開発していくつもりである。

なお練習方法について、僕は普段は電子ピアノ、1〜2週間に一回スタジオを借りてグランドピアノを使っている。住宅環境などを考えれば、こういうハイブリッドな選択もアリなのではないだろうか。

[上記以外の参考]
:減少するピアノ生産台数 ~ 製造拠点の海外シフト、電子ピアノの増加
http://kimamalove.blog94.fc2.com/blog-entry-1833.html

:鍵盤楽器市場をめぐるヤマハのビジネスモデル
http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/dp/pdf/MMRC337_2011.pdf

:国内楽器市場開拓のあり方 ―コミュニティを活用したシニア向け戦略―
http://koichinakagawa.web.fc2.com/student…/otonoha2012-3.pdf

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Mindscape of a Music Tech Startup

Hiroyuki Koike / CEO, Founder of Piascore / Music, Technology, and Startup / Smart Digital Music Score: Piascore https://piascore.com/ Amateur Pianist.