Vol. 81 2040年の夢「音楽都市の建築」

クラクフ, ポーランドの歴史都市(CC BY 3.0)

※ 2012年の年末に書いた文章の転載です。

明日は色々と忙しいと思うので、今日のうちに来年以降の夢を少し書いてみる。年末の戯言だと思って、お時間のある方は読んでほしい。

僕の人生は、1年前に書いたこの年表に基づいて実行されている。

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2030年:ピアノ用ホールを建築。そこで全クラシック作曲家ソロピアノ全曲コンサート&ショパン全曲リサイタル
2040年:日本に音楽都市を建築
2100年:piaScoreにより楽譜が完全電子化。
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来年のことを書くと鬼が笑う、というけど10年以上先のことなら鬼も呆れるだろう。

【ホール】
ピアノ用ホールについては、2つ。それと、それぞれのホールに隣接するレストランを作りたい。どんなホールかといえば、一つは誰もが気軽に聴きにいけるようなホール、もう一つは本当のクラシック音楽好きだけが聴衆として来るようなハイスペックなホール。これは、クラシック音楽の大衆化が進み、聴衆の嗜好・専門性が多様化する中、一つのタイプのホールやコンサートでそれら嗜好を対応するのは難しいのではないか、という疑問から考えたものだ。決して、高いコンサートを提供しようとか思っているのではない。趣味・嗜好が近い人達が、それぞれちゃんと楽しめるようにしたいだけだ。僕は、ラ・フォル・ジュルネのような気軽なコンサートも、一席3万円するような海外オケのコンサートも、どちらも素晴らしいと思っている。

ピアノ用というだけに、様々なピアノを用意しておきたい。6台も用意すれば十分だろう。音響のことは専門家ではないので詳しくないけど、残響時間ぐらいは調節できるようにしたい。また席のレイアウトについて、ピアノの演奏の特性を考えと、左方向に聴衆が集まりやすいわけだが、不自然な形にならないようにより多くの聴衆がその方向から聴けるように配置したい。このあたりは、どの方向から聴いてもできるだけ差がないように作られたという大賀ホールが参考になるかもしれない。あのホールは本当に素晴らしい。

また、コンサートが終わると、大抵のレストランが閉まっていまい、いつも残念な気持ちになる。それはサントリーホールでも同様。せっかくいい音楽を聴いたのならば、その後に音楽の良さを語るためのレストランが隣接していて欲しい。ソリストが気前の良い人なら、終演後にレストランに少し顔を出してきてくれたら、聴衆としても嬉しいだろう。

白寿ホールのような自社ビルに創るのもいいけど(眺めイイしね)、僕は一つの箱として作りたい。場所は、横浜駅横、CATSシアターがあったあたり。駅に近いことも条件の一つにしたい。

【音楽都市】
2010年にチェコとウィーンにいった時に感じたのは、チェコの方が町中に音楽が聴こえてくるということ。たまたまだったのかもしれないけど、夜になれば喫茶店から音楽が聴こえ、教会では気楽に入れるコンサートが毎日のように行われている。そんな音楽が一体化した都市、それも世界に誇れるような音楽都市を作りたい。

その音楽都市には、様々なジャンルの音楽の街がある。ポップス、ジャズ、クラシック・・・。それぞれに専用のホールがある。もちろん都市だから住居もある。住所は「音楽市アレグロ町」とかかな(センスないな…)。もちろん音楽学校もある。音楽好きが集まってどんどん色んな音楽をやって欲しい。街中に生の音楽が聴こえると考えただけでワクワクしてこない?

都市では、ミュージカルのようなパフォーミングアーツもどんどんやりたい。ロンドン、ブロードウェイのミュージカルが日本で見ることが出来たらどんなに素晴らしいことか。25周年のレ・ミゼラブルの公演はロンドンだったが、いつかの記念公演はぜひ日本で聴いて、大いに涙したい。様々なジャンルの音楽祭も、四季に応じて(例えば、春:ジャズ、夏:パフォーミングアーツ、秋:クラシック、冬:ポップス)やりたい。

こういう都市(あるいは特区)を創るには、よほどの私財がないと作れないと思っている。オリンピックの誘致以上に、”公共”としての必要性を訴えるのが難しいからだ。さてどうするか。。。

とにかく、LAやNY、ウィーンやチェコに並ぶような、歴史に残る町並みを作ることができたら、人生に思い残すことはもはやない。

【ショパン全曲リサイタル】
2010年に、ショパンソロ曲の全曲コンサートを114名の演奏者に集まって頂き開催した。しかし、残念ながら2曲を残して全曲は実現できなかった。しかし、却ってそれが良かったのかもしれない。やはり「全曲」という大きな夢は、そんなに簡単に実現しないものだったのだし、それが代表として取り仕切った僕の心に火をつけた。これは完全に、僕のワガママでやりたいことだ(上の2つもそうかもしれにないけど)。

piaScore の「裏の目的」は、そのショパン全曲リサイタルに向けて、効率よく練習するための道具を作る、というものだ。だから、誰のため以上に、自分のために必須なのだ。

これもなかなか大変なことだ。暗譜で弾く必要はないだろうが、体力や記憶力といった普段の演奏ではあまり気にしないことも考慮する必要がある。

【piaScore による楽譜の完全電子化】
piaScoreは、とても好評でクラシック音楽家を中心に、世界中の演奏家に使われている。しかし、まだ「革命」のレベルには至っていない。タブレット普及元年と言われる2013年は、なんとしても「革命」にしなければならない。しかし、肌感として「紙」は当面使われるだろうし、ライフスタイルになるのは少なく見積もっても10年はかかると思っている。

テクニカルには、大きさの問題、電力の問題など、ハード上の問題も大きい。おそらく、2〜3年のうちにiPad、あるいはタブレットではないソリューションを考える必要が出てくるだろう。それは、Google Grass のようなものかもしれないし、ディスプレイ一体型の楽器かもしれない。

楽譜の歴史を眺めると、9世紀に現在の記譜法の元となるネウマ譜の発明、16世紀に印刷技術の発展、20世紀に製作のデジタル化が進んだ。そして21世紀は電子楽譜の時代だ。それを実現するために、piaScore は日々開発が続けられている。
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この一年は、これらの目標実現のために一生懸命走ってきた。成果も出せてきたと思っている。1年後はどうなっているだろうか。また明日から命がけで頑張っていこうと思う。

Vol. 31 音楽都市を作るには共感が必要だ

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小池宏幸 / Piascore 代表 / 音楽、テクノロジー、ベンチャー経営 / スマート電子楽譜 Piascore http://piascore.com/ アマチュアピアノ弾き。